障害年金
障害年金の受給資格
1 障害年金の受給資格を得るための3つの要件
障害年金を受給するためには、①公的年金の加入要件、②年金保険料の納付要件、③障害の状態の要件、という3つの要件を全て充たす必要があります。
以下では、これらの3つの要件について、詳しく説明いたします。
2 公的年金の加入要件(要件①)
障害年金を受給するためには、原則として、障害の原因となった病気やけがの初診日(=障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)が公的年金の加入期間内であることが必要です。
もっとも、初診日が、20歳より前にある場合や、日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間にある場合には、公的年金に加入していなくても構いません。
3 年金保険料の納付要件(要件②)
「初診日の前日」において、「初診日がある月の前々月まで」の被保険者期間で、年金保険料の納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上でなくてはなりません。
ただし、初診日が令和8年4月1日より前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、「初診日の前日」において、「初診日がある月の前々月まで」の直近1年間に保険料の未納がなければ納付要件を充たす扱いとされています。
※20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件を充たす必要はありません。
4 障害の状態の要件(要件③)
障害年金を受給するためには、「障害の状態」が、障害等級表に定められている基準を充たしていなくてはなりません。
障害年金を受給することのできる「障害の状態」に関しては、①障害基礎年金については国民年金法施行令の別表に、②障害厚生年金については、厚生年金保険法施行令の別表に定められており、障害基礎年金については1~2級、障害厚生年金については1~3級に該当する可能性があります。
※障害厚生年金については、年金の支給に至らない程度の障害であったとしても、障害手当金という一時金が支給される場合もあります。
障害年金の申請に必要な書類とは
1 申請に必要な書類
障害年金の申請に必要な書類は、大きく分けると「年金請求書」と「添付書類」です。
「年金請求書」は、近くの市区町村役場、年金事務所、年金相談センター窓口に備え付けの書式があります。
年金事務所等を訪れれば、これらの書式を取得することができます。
ただ、年金請求書は、加入されている年金の種類(国民年金、厚生年金、共済年金)によって書式が異なりますので、ご自身が加入している年金に応じて使い分けましょう。
2 必ず必要となる書類
障害年金を申請する場合に最低限提出が必要となるのは、①年金請求書、②年金手帳・年金基礎番号通知書、③戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)、④受診状況等証明書、⑤診断書(障害内容に応じて所定書式が異なります)、⑥病歴・就労状況等証明書、⑦申請者名義の通帳またはキャッシュカードなど口座を明らかにできるもののコピー、⑧印鑑(認印)⑨個人番号、⑩運転免許証等の本人確認書類です。
これらのうち、④受診状況等証明書と⑤診断書は、上記1で取り寄せた「年金請求書」一式の中に書式があり、これらを以って医師・診療機関を受診し、作成してもらう必要があります。
3 申請する障害年金の内容などによって必要となる書類
上記2は、必要最低限の書類です。
これらに加えて、受給する障害年金の内容や受傷状況によって更に添付する必要がある書類があります。
まず、障害年金において配偶者や子の加算を求める場合、①戸籍謄本(全部事項証明書)、②住民票(世帯全員、続柄がわかるもの)、③所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票等、④在学証明書、⑤子の加算請求に係る確認書が必要となります。
また、障害の原因が交通事故などの第三者行為による場合には、①第三者行為事故状況届、②交通事故または事故が確認できる書類、③確認書(所定書式)、④扶養者がいる場合には扶養していることが分かる書類、⑤損害賠償金の算定書などが必要となります。
その他に、申請者個々人の事情に応じて、身体障碍者手帳、療育手帳、障害給付事由確認書、時効に関する申請書などの書類を提出する必要があります。
4 障害年金の申請は専門家にご相談ください
上記2、3のとおり、障害年金を申請するためには様々な書類を揃えなければなりません。
また、個々人の事情や申請する年金の内容などによっても必要となる書類が異なります。
障害年金の申請に際しては、こうした手続きに習熟した法律の専門家にご相談いただければ、漏れなく書類を整え、また、障害年金が受給できるよう適切な診断書を作成してもらうなどのアドバイスが得られます。
是非一度、専門家にご相談ください。
障害年金申請の手続きの流れ
1 初診日の確認
まずは、障害の原因となる傷病につき、初めて医師(または歯科医師)を受診した日を確認します。
障害年金の申請において、初診日は、次に説明する加入要件、納付要件を満たしているかを確認するために必要な情報となります。
2 加入要件、納付要件の確認
障害年金を受け取るためには、原則として3つの要件(加入要件、納付要件、障害程度要件)を満たす必要があります。
このうち、加入要件(初診日において、国民年金保険、厚生年金保険に加入していること)、納付要件(初診日のある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の納付又は免除を受けている(原則)か、初診日のある月の前々月まで12か月間に未納の月がない(例外)こと)の両方を満たしていないと、その先のステップに進むことができません。
3 各種書類の取得
障害年金の申請に必要な書類を、年金事務所等から取得します。
具体的には、障害年金請求書、(障害年金申請用の)診断書、病歴・就労状況申立書、受診状況等証明書(初診時の病院と、現在診療を受けている病院が違う場合)、などがあります。
また、申請者が用意する書類や資料として、年金手帳、住民票、年金受け取り用の預金通帳等があります。
障害年金の申請を代理人に依頼する場合は、委任状も必要です。
4 お医者様に診断書を作成してもらう
障害年金用の診断書(8種類あります)のうち、障害の内容に合致するものをお医者様に渡し、診断内容を記載してもらいます。
診断書は、障害年金を受け取るための要件のうち、障害程度要件を満たすか否かを左右する極めて重要な書類です。
そのため、日常の生活の中での制約の状況や、お仕事に就くことが難しい事情を
正確かつ丁寧に説明し、診断書に反映してもらう必要があります。
5 病歴・就労状況申立書の作成
診断書とは別に、初診日についての補足、障害状況が現在も続いていることの説明、申請者本人から見た現在の障害の状態の説明をするため、病歴・就労状況申立書というものを作成します。
診断書(及び受診状況等証明書)の内容と合致するように記載することが大切です(内容に齟齬があると、障害年金を受け取ることができないこともあります)。
6 必要書類の提出
診断書(及び受診状況等証明書)、病歴・就労状況申立書、記入済の障害年金請求書、年金手帳、住民票、年金受け取り用の預金通帳を揃え、年金事務所等に提出します(申請者の状況により、他の書類も必要になることがあります)。
障害年金を専門家に依頼するメリット
1 障害年金は制度が複雑であり理解が難しい
障害年金は、制度自体がとても複雑であり、専門家でない方が理解するのはとても大変です。
まず、障害年金は、大きく分けて障害基礎年金、障害厚生年金に分かれており、それぞれ根拠となる法律が異なります。
どの年金を受け取ることができるかは、申請をする方の状況によって異なります。
また、障害年金を受け取るためには、一定の要件(加入要件、納付要件、障害程度要件)を満たす必要があります。
これらの要件を充足しているか否かの判断も簡単ではありません。
さらには、上記要件にも例外が存在しています。
このような制度であるため、法律家の専門家の中でも、障害年金を得意とする者でなければ、スムーズな障害年金申請を行うことができません。
2 障害年金申請のための準備も大変
障害年金の申請を行うためは、日本年金機構が様式を定めている年金請求書を作成する必要があります。
この年金請求書は、請求しようとしている方が国民年金保険に加入していたか、厚生年金に加入していたかによっても異なります。
そして、年金請求書には、添付しなければならない資料もたくさんあります。
例を挙げると、年金手帳、生年月日を明らかにできる書類(戸籍謄本等)、医師の診断書、病歴や就労状況等を報告する書面、などです。
障害年金の申請をするためには、事案に応じて、どのような書類が必要かを調査・判断したうえで、年金請求書一式を作成する必要があります。
障害に苦しむ方や、お仕事をされている方がこのような書類の収集、作成をするのは非常に大変であると思います。
もちろん、性質上、ご本人様にご用意いただかなければならない資料もあります。
もっとも、障害年金に強い専門家であれば、どのような資料をご用意いただくかについてもアドバイスをすることができます。
そして、ご提供いただいた資料を元に、ご本人様に代わり、障害年金の申請を行うことができます。